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戦時中の小学校習字教科書(明治時代のものも最後に少々)〔その1〕(全2回)

 




現在再放送中の「おしん」。


2013825日に再放送された199話から204話は、

昭和12年暮れから昭和14年秋までの話でした。

内容はまさにこれからの重さを暗示するような展開。

 




戦争ごっこをする子供達のシーンが流れたり、

“非国民”という言葉や“千人針”という言葉を

小学生の子供が当たり前のように発したり、みるみる石油が乏しくなってきたり、

今は男の子なら誰だって軍人に憧れるさぁ、というセリフが出てきたりしました。

 

 

おしんは、戦争だけは絶対に嫌という考えをずっと貫いています(長男・雄は母の気持ちを思い陸軍士官学校進学を断念)。


 

でも、夫・竜三の考えを立てて、軍隊用食料の納入業者の道を選ぶことになります。

 


竜三の兄(軍人)の口利きも手伝ってその仕事もだんだんと軌道に乗り、

一旦は吉と出ますが、結果的にそれがよかったかどうか、

この時代の人にはわかりません。

 

 


戦争に押し潰される人もいれば、

戦争を足掛かりにしてのし上がろうとする人間もいる。
・・・

 


という最後のナレーションが、

 


後退する人と一旦前進する人の対比を浮き彫りにする回であったことを

改めて思い起こさせました。



しかし、

長男・雄の行き着くところを思うと
軍隊用食糧の納入を生業としている家の息子でありながら、戦地にて餓死

戦争があらゆるものに影を落とすということは誰も否定できません。




せんにん‐ばり【千人針】
一片の布に千人の女性が赤糸で1針ずつ縫って千個の縫玉を作り、出征将兵の武運長久・安泰を祈願して贈ったもの。日清・日露戦争の頃始まり、初めは「虎は千里行って千里かえる」の言い伝えから寅年生れの女性千人の手になったものという。広辞苑より

 

 

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昭和13年のパイロット高級万年筆のポスター

 

 

 

 

ぼくはこの時代に生きていませんし、

兵役・納税・教育(教育勅語)が臣民の三大義務であった世の中の実際の雰囲気はわかりませんが

明治34年の小学校習字教科書には、「兵役ニ服スルト租税ヲ納ムルトハ實ニ國民ノ二大義務ナレバ我ガ帝國ノ臣民タルモノハ喜ビ進ミテ其ノ義務ヲ全ウスベキナリ」という手本もあります)(兵役は“血税”ともいわれていたようです

 


当時の小学校の習字教科書を見ていると、扇動のすごさを少しだけ垣間見た気持ちになります。

 


連続テレビ小説「おしん」のワンシーンでも描かれたように、

戦争ごっこが子供の遊びのひとつとして流行っていたこともわかります。

 





◇◇◇

 

下の画像(数十行後に載せます)は、

大東亜戦争(太平洋戦争)真っ只中の時代に使われていた、

小学校(国民学校)習字教科書の手本を写真に撮ったものです。

 

こくみん‐がっこう【国民学校】
1941年国民学校令により小学校を改めて成立した初等教育機関。初等科6年・高等科2年。戦時体制への即応と皇国民の基礎的錬成を目的とした。47年学校教育法により初等科は再び小学校となった。同




ところどころ破れたような感じになっているのは、


糊でピタッと貼り合わせてあったところを剥がしたからです。

 

△と書いてある課題は、全く見えないように、

その上の頁に貼りつけてありました。

 



価値観が180度転換した戦後に、

不適切な課題がこのようにして隠されたと想像できます。

 

 



それはさておき、

 

この教科書(文部省検査済)が小学校(国民学校)で使われていたことは事実で、

児童がこれらの課題を学校で習っていたことも歴史的事実です。

 



ごく普通の語の間に、


まだ分別がつかない児童の思考を

一方向に統一するような意図の語を

チラチラとはさんでいるところを見ると、


作っている人たちのその狡猾さに恐怖を感じます。(最後から二番目「兵之義」、そして最後に「安養」


 


右翼とかその反対とか、稜威に因んだものがよいよくないとか、

そういうようなことを言っているわけではありません(すぐに右翼とかどうとかを言い出す今の現状がそもそもおかしい)。



こういう時代には戻りたくないというだけです。

だからといって戦後の日本社会の教育はよくなったということでもありません。





祖国に愛着をもつことに違和感を感じるようにさせた、

戦後の教育(連合軍に占領された後の教育)にも欠点が多いと思います。




先ず第一に「教育勅語」の全てをなぜ外国人に

否定されなければならないのか。

 

 


きょういく‐ちょくご【教育勅語】
明治天皇の名で国民道徳の根源、国民教育の基本理念を示した勅語。1890年(明治23)10月30日発布。御真影とともに天皇制教育推進の主柱となり、国の祝祭日に朗読が義務づけられた。1948年、国会で排除・失効確認を決議。公式呼称は「教育ニ関スル勅語」。広辞苑より





 

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「野原若草子馬」




(ところどころ破れたような感じになっているのは、
糊でピタッと貼り合わせてあったところを剥がしたからです。
△と書いてある課題は、全く見えないように、その上の頁に貼りつけてありました)






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「靖國神社参拝」


やすくに‐じんじゃ【靖国神社】
東京都千代田区九段北にある元別格官幣社。
国事に殉じた者の霊を祀るため1869年(明治2)招魂社として創建。
明治維新およびそれ以後の戦死者など246万余の霊を合祀。
1879年(明治12)現名に改称。現在、単立宗教法人。

広辞苑より





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「青田に鳴く蛙」









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「忠臣楠木正成」
     ↑これほどの技能をもった書家はそういない。

穂先をぐちゃぐちゃと押さえつけないこのような書き方↑は、
ごまかせないから難しい。


くすのき‐まさしげ【楠木正成】
南北朝時代の武将。河内の豪族。1331年(元弘1)後醍醐天皇に応じて兵を挙げ、
千早城にこもって幕府の大軍と戦い、建武政権下で河内の国司と守護を兼ね、
和泉の守護ともなった。のち九州から東上した足利尊氏の軍と戦い湊川に敗死。
大楠公(だいなんこう)。(1294〜1336)









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「手紙返事安心」









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「池沼魚鳥林森」










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「いも掘栗拾ひ」











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「特別急行列車」










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「旅行見學日記」










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「命令占領守備」









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「扇の的弓流し」









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「近所夜番防火」











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「紀元節梅開く」


きげん‐せつ【紀元節】
四大節の一つ。1872年(明治5)、神武天皇即位の日を設定して祝日としたもので、
2月11日。第二次大戦後廃止されたが、1966年、「建国記念の日」という名で復活し、翌年より実施。

し‐だいせつ【四大節】
もと祝祭日とされた四方拝・紀元節・天長節・明治節の総称。










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「機甲隊新兵器」











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「島かげ帆前船」











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「宮城前旗の波」











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「兵之義」





最後の語に・・・「安養」
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「神代天の岩戸」


あまの‐いわやと【天の岩屋戸】 
天の岩屋の戸。日本神話で天照大神(あまてらすおおみかみ)が
素戔嗚尊(すさのおのみこと)の暴状を怒り天の岩屋に籠もったため、
天地が常闇(とこやみ)となった。群神が相談して種々の物を飾り、
天児屋根命(あまのこやねのみこと)が祝詞を奏し天鈿女命(あまのうずめのみこと)が舞ったところ、
大神が出てきて、世が再び明るくなった。
北半球で冬至に太陽の力が弱まり復活する型の神話。
古事記(上)「是に天照大御神見畏みて、―を開きてさしこもり坐(ま)しき」









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「皇威光被世界」
    ↑これほどの技能をもった書家はそういない。
他の教科書の筆者は、
線の潤い・線の円み、という点で今少し劣る。










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「必勝の信念は必死の訓練より生ず」










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「不自由を常と思へば不足なし」











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「軍功感状上聞」

かん‐じょう【感状】
戦功などを賞して主君や上官から与えられる文書。感書。
山路愛山、民友社時代「武士が大将より―を迫り取りしを」












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「皇國に生まれた喜びを新たにし一丸となって
大御心にこたへ奉らんことを誓ひます」

 





◇◇◇


その2へ】





 

 





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おしん
NHKの番組「連続テレビ小説」の一作。橋田寿賀子原作・脚本。
1983〜84年放送。明治・大正・昭和を生きた女性の一代記。
四十数カ国で放送された。



篆ゴム印(てんごむいん)の「和玄堂

篆刻住所印「
寧洛菴(ネイラクアン)」



 





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