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文人愛用味わい住所印ギャラリーその3――書家・内田鶴雲





書道界には、

「漢字」、「かな」、「篆刻」、

「近代詩文書・漢字仮名交じり書・調和体」、

「刻字」、「前衛書」などの区別があり、




例えば「漢字」作家の中でも、



「ワシは北魏楷書が専門じゃ」、

「オレは隷書」、

「小生は篆書が専門です」、

「わたしは楷書よ」、

「篆書の中でもオレは金文」というように、

いろいろと専門バカ化・細分化されています。






内田鶴雲(うちだかくうん、1898〜1978)は、


「かな」の書家でした。



ただ、かな書家とはいえ、


最初は丹羽海鶴・井原雲涯に師事しており、


漢字出身で、後に「かなへ転向」したということになります。



書道の世界では、「かなの書家」とはいえ、

「かな」ばかり書いていては骨格が甘くなり、

漢字を習うことも大切だといわれています。

それに、字種が少ない「かな」ばかり書いていては、
漢字が苦手になる一方。字種の多さはかなの比ではない





変な例ですが、

「かな」ばかりだと、ぜんざいで言えば塩を入れない、

あるいは塩昆布がついていない感じで、書に締まりが無くなります。


“塩”、つまり、漢字という「カド」をちょっと加味することによって、

全体が引き締まります。

柔らかい書線を主体とした書の中に、

楷書の書線のようなカドをほんの少し入れたような書を見ると、

この人、気が利いてるやん」と、和玄は思います。


昭和の三筆・かな作家日比野五鳳は、

若い頃漢字の大野百錬に漢字を習っていました。





さて、展覧会の「かな」作品といえば、

今では壁面芸術として大きな形式(大字仮名)になっていますが、



昭和35年頃までは、


「かな」は本来の小さい形式で、

書展会場の片隅の机に並べられ、

鑑賞者は前かがみになって見るという甚だ地味なものでした。



当時は照明も暗かったと思いますので、

ホントにすがれていたのだと思います。



現在、篆刻も印面が巨大になったとはいえ、展覧会会場では依然として甚だ地味です。






「かな」に話を戻しますが、





これではあかん!」ということで、



かなも漢字と肩を並べていけるよう、


「大字かな運動」が昭和35年頃から関西の仮名書家中心におこります。




安東聖空(あんどうせいくう、1893〜1983)、


桑田笹舟(くわたささふね、1900〜1989)、


田中塊堂(たなかかいどう、1896〜1976)、


日比野五鳳(ひびのごほう、1901〜1985)、


谷辺橘南(たにべきつなん、1905〜1980)、


内田鶴雲、


宮本竹逕(みやもとちくけい、1912〜2002)
らが先導し、



書道界で彼らは、

仮名の“七人の侍”と言われました。かなり業界的なマニアな話題ですね





それ以降、

「かな」書道において、

大きく書いて壁面に飾るという感覚が定着し、今に続いています。




写真の手紙は、

昭和12年から17年頃に書かれた内田鶴雲筆の一通です。

消印は不鮮明ですが、封筒の表には4銭切手が貼られているため、

年代がわかりました。




 





















内田鶴雲筆の「様」字






この内田鶴雲の手紙のような↑、

あまりにラフな書き方・あまりにラフな書線が好きかどうかときかれたら、

迷うところですが、


ひと昔前の書家の手紙にはたいてい魅力があります。





昔の書家の多くの手紙からは、

ごまかしのない書の実力を感じることができます。


昔は、手紙文字のつわもの揃い・てだれ揃いでした。


昔の一般的な人でも、今の書家をはるかに凌ぎます。




              ↓昭和初期の手紙 日本画家の夫人の手紙








内田鶴雲は住所印にも凝っていて、


先の写真の封筒に捺された住所印↓(材質は石)は、大変ミニです。


弊店の「極小住所印」は、この鶴雲の印を見たことに感銘を受け、

それを契機に商品化したものです。




 


ほんとうに小さい↑


すごくいい






内田鶴雲はこの手紙に捺した住所印以外にも、

魅力的な住所印を愛用していました。



そのようなシャレた手紙を手にしていると、ぼくは楽しくなってきます






 








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二十年20年くらい後の好転に.jpg



◇◇◇◇◇



 







 

ねいらくあん
 





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