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第5回 書線の緊張感





右手で横画(横の線)を書く場合の自然な形は、

少し右上がりのついた、伏せる線だと思います。↓



 
自然に書いた「一」


 

この横画に加わっている力の方向を矢印で示すと、以下↓のようになります。




 
自然に書いた「一」の力の方向
 




この、自然な力の入り方は、


人間の姿勢でいうと「休め」という楽な姿勢をとっていると考えることができます。



 


それでは、

同じ書線で「気をつけ」の姿勢とはどのようなものでしょうか……



さきほどの自然な力の方向とは逆の方向に力を入れて書いてみます↓。



この直線的な書線を書く時は、腕にやや負荷がかかる分、

書線や文字に緊張感が生まれます。
 

 
直線的な「一」 直線的な「一」の力関係
 





「年」という文字を、

2種類の書線を基調として書くと解りやすいと思います。



右の方が「気をつけ」をしているように見えると思います↓。

 

 
「年」     緊張感のある「年」
 





中国唐時代の欧陽詢(おうようじゅん、557〜641)が書いた「九成宮醴泉銘」という楷書は、

古来「楷法の極則」と呼ばれている絶品ですが、

この古典は、

2番目に示しました「気をつけ」の書線を基調にして組み立てられています。



緊張感あふれる文字姿の所以は、こういうところにも大いに関係があります。






おうよう‐じゅん【欧陽詢】
初唐の書家。字は信本。潭州(たんしゅう)臨湘(りんしょう)の人。初め王羲之の書を学び、のち独特の書体を創め、虞世南・〓遂良と並称。書「九成宮醴泉銘」、編「芸文類聚」。(557〜641)広辞苑




求心と遠心



 





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