白沙村荘・橋本関雪記念館〔その1〕(全2回)





京都銀閣寺畔にある


白沙村荘橋本関雪記念館」は、



日本画家・橋本関雪(はしもとかんせつ、1883〜1945)の旧邸です。



 



関雪

はしもと‐かんせつ【橋本関雪】
日本画家。本名、関一。神戸生れ。
竹内栖鳳に四条派を学んだのち、
中国・日本の古典研究を通じて
独自の画風を確立した。
文展・帝展で活躍。作「玄猿」など。
(1883〜1945)
広辞苑より
 




「㊖関雪記念財団」が運営する

この白沙村荘(はくさそんそう・国指定名勝)は、

約3000坪に及ぶ広大な庭園で、

年間数千万円の維持費がかかるということです。




 








c白沙村荘周辺地図京都.jpg

周辺地図
 



 





関雪がこの庭園邸宅を設計したのは、

大正4年彼33歳のときであり、

翌大正5年10月に完成、

南禅寺山内金地院からこの邸宅に引越してくることになりました。


当時は、周り一面田圃で、

白沙村荘は周りの土地を徐々に買い足しながら大きくなっていったようです。




関雪が制作をしていた画室「存古樓・ぞんころう」の向かい側には、

鯉が優雅に泳ぐ大きな池があり、

そのまた向こうには東山の大文字を眺めることができます。


こんな環境で絵を描いていたなんて、うらやましい限りです。


 




 






見学者は画室「存古樓」にも入る事ができ、

室内には、中国清時代の文人・査士標(さしひょう、1615〜1698)の直筆で、

「存古樓」と書かれた扁額が掛けてありますよ。



関雪は生涯中国に足しげく旅していて、

古美術収集にもやはり余念が無かったため、

査士標の書「存古樓」を手に入れた事をきっかけとして、

画室の名前を「存古樓」にしたのでしょう。



下の写真のはがきは、

大正6年4月に、

関雪が兵庫県の二見村から、自宅白沙村荘に出したものです。


『橋本関雪――師とするものは支那の自然――』(西原大輔著、2007年、ミネルヴァ書房)によると、


明治45年には二見に土地を買い、

後に別荘を建てたということですので、

二見にしばらく住んでいたのでしょう。


 



関雪筆のはがき






白沙村荘には、無数の石造がありますが、

このはがきからは、

ちょうどそれらを収集している頃の様子がうかがえます。


 






はがきには、塔を組み立てる内容や、

塔の荷物の、先の分は15個、後の分は3個など、

いろいろと段取りが記されています。



各地で石造美術を見つけては、少しずつ集めていったのでしょう。




白沙村荘には、家族の他に弟子も住み、

呉昌碩(ごしょうせき、1844〜1927)の門弟であった

篆刻家・銭痩鉄(せんそうてつ、1897〜1967)は、

ここに関雪と住みながら、関雪の用印を数多く刻していました。



痩鉄は会津八一(あいずやいち、1881〜1956)とも交流がありました。




 



銭痩鉄刻「白沙村荘」




 



一般800円で、庭園と記念館に入れます。








以下、

橋本関雪の評伝『橋本関雪――師とするものは支那の自然――』に依りながら、

関雪の生涯を少し綴ります。





関雪は、1883年(明治16年)、

明石藩の漢学者・橋本海関と、母フジの間に生まれました。




父海関は、漢学の他、書画にも巧みであり、

息子関雪も幼少から漢学や書画に親しんだといいます。



古美術に親しむのも父海関の影響です。


関雪という号は、父が与えたもの。




関雪の子息・橋本節哉は、

子供のころ、毎日京都の古美術屋に散歩といいながら父関雪に連れて行かれ、

最後にキャラメルかぜんざいを買ってもらうのを楽しみに、

古美術めぐりを我慢していたという事です(笑)。




1903年冬、21歳の関雪は、

光村利藻という富豪の紹介で、

日本画の大家・竹内栖鳳(たけうちせいほう、1864〜1942)の主催する

竹杖会(ちくじょうかい)に入会します。





光村に連れられて栖鳳の画室に初めて入った関雪は、

栖鳳の馬の絵を見て



「下手くそだなぁ」



と言ったということです(笑)。




栖鳳は生意気な関雪少年に、かえって一目おいたといわれています。



ちなみに、

画家志望であったという

若き日の井伏鱒二(いぶせますじ、1898〜1993)は、

のち関雪に入門を願い出たところ、

惜しくも断られました。


 








w井伏鱒二1975年山梨県石和満.jpg
↑井伏鱒二 1975年




 






栖鳳の竹杖会に入門した関雪の話に戻ります。


関雪は栖鳳門に入ったものの、師の元で学んだのは1年半ほどでした。


日本美術展での審査会議で意見が衝突し、

関雪は絶縁状を送ったようです。


その後はお互いライバルとなっていきます。



画の抜群の才能と漢学の素養により、

関雪の画は20代後半から売れるようになってきます。



自分の師とするものは支那の自然である」と

関雪が強調していうように、

中国への憧憬がますます強くなっていきました。



画壇のボス・栖鳳に背いたという事は、

画壇世界に溶け込めないことを意味します。


徒党を組む世界はどろどろとしており、


驚くことに、

抜群の才を誇った関雪でさえ、

栖鳳の圧力で帝国美術院会員になかなか任命されなかったといいます。




 








しかし、関雪が求めるものは自己顕示欲よりも静かな暮らし。





家には、牛や熊や犬や鳥、猿、さらにはピューマまでも飼い、

それら動物を見ながら絵を描くと共に、

好みの庭園を造ったり各地の石造を集めたりして、

芸術家としての気持ちを高めていました。



一匹狼を楽しんでいたといえます。




 



奥に見えるのが存古楼




 














39歳と45歳のときには、ヨーロッパを訪れ、


マチス(1869〜1954)邸や、

ルノアール(1841〜1919)故居の訪問をします。


ギリシャ陶器収集にも凝ったというから驚きです。



西洋画家では、

ポール・ゴーガン(1848〜1903)と

アンリ・ルソー(1844〜1910)の芸術観に共鳴しており、


中国人になぞらえるなら、

ゴーガンを八大山人(はちだいさんじん、1626〜1705)、

ルソーを金冬心(きんとうしん、1687〜1763) と見なしていました。



関雪の中国書画のコレクションも豊富でした。



関雪41歳の時には、中国杭州の西冷印社にて、

石濤(せきとう)が八大山人に宛てた手紙を鑑賞しています。



中国での関雪は、

有名な篆刻家・呉昌碩や、

王震(おうしん、1867〜1938)、

羅振玉(らしんぎょく、1866〜1940)ら、

一流の文人・学者とたびたび交流していたといいます。

潘天寿(はんてんじゅ、1898〜1971)にも会っていたようです。


 

        
↑呉昌碩               ↑羅振玉
 


↑潘天寿
(^u^)



 


↑王震

 





白沙村荘にある巨大な舞台石側面には、

「鬱勃縦横」という呉昌碩の篆書が刻まれ、


また、


「観性」という銭僉覆擦鵑い、1896〜1967)の篆書もさりげなく刻まれています。



 



舞台石 
 側面には呉昌碩の文字「鬱勃縦横」が見える




 



銭僂諒源 「観性」が見える



 



舞台石の上で清酒を味わう裕次郎





◇◇◇


その2へ】




 




◇◇◇






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