松本芳翠筆「楷書基本帖」1 紙のおもてからと裏からと
- 2013.10.06 Sunday
- 松本芳翠「楷書基本帖」紙のおもてからと裏からと
以前、松本芳翠(まつもと・ほうすい)氏筆の、
肉筆「楷書基本帖」を 当“和玄メモ”にて最初から順番に
とり上げていったことがありました。
芳翠(1893〜1971年)氏は近現代の楷書の雄と目される書人です。
近頃、ふと、
同じものを趣向を変えて再紹介すればおもしろいかなと
思いつきましたので、
当カテゴリーを新しく作りました。
以下に概要を説明しています。
◇◇◇
書でも画でも、
昔人の作品を“紙の裏”から見るという機会は、
意外となかなか無いものです。
大体が、軸装・額装・屏風という体裁になっており、
捲り(まくり。表装されていないまま)の状態で遺ってきていることが少ないからです。
もし、さまざまな書画を、裏から見る機会がたくさんあるとすれば、
制作時の筆者の力加減がわかりますので、けっこう勉強になります。
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大正時代の書作品(芳翠氏の作品ではありません)を、紙の裏から見たもの。
◇◇◇
“書道”には、
「入木道(じゅぼくどう・にゅうぼくどう」という異名があります。
書聖・王羲之(おうぎし)が文字を書いた木を削ってみたら、
墨痕が三分(9ミリ)も奥まで入り込んでいたという故事によります。
おう‐ぎし【王羲之】
東晋の書家。字は逸少。右軍将軍・会稽内史。行書・楷書・草書において古今に冠絶、その子王献之と共に二王と呼ばれる。「蘭亭序」「楽毅論」「十七帖」などの作がある。(307?〜365?)広辞苑より
これは筆力の勁(つよ)さを喩えたものですが、
視点を変えると、
(もし本当にそれだけ染み込んだのであれば)木を削ることによって、
力加減の可視化もできたということになります。
板を1ミリ削ったところ、2ミリ削ったところ、3ミリ削ったところ・・・
というようにしてそれを順番に並べれば、
書聖の力の入れ具合が一目瞭然です。
昔も今も、
現実的にはそのようなことはまずしませんので、サンプルを出すことはできませんが、
紙に書いたものを裏から見ることならすぐにできます。
墨が紙にどのように入っているかを知ると、
書かれた書のリズムをつかむヒントになりますね。
◇◇◇
松本芳翠氏は、楷書を書くときに、
どのように力をためていらっしゃったか、
これらの画像によって少し垣間見ることができるかもしれません。
見開きを順番にアップしていきます(おもてからと裏からと)。
うまい人の文字は紙の裏から見ても美しい。
裏打ちしていない肉筆(直筆)のものだからこのようなことができます。
裏打ちしてあるものならはっきりと見えません。
また、当たり前ですが、印刷のものは、
裏から見ても色の変化がありません。
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篆ゴム印(てんごむいん)の「和玄堂」
篆刻住所印「寧洛菴(ネイラクアン)」
- 2013.10.06 Sunday
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